潮流
日本とともに世界の音楽の潮流を自由な眼で展望するコーナーです。 音楽批評家、石田一志氏が 隔月で纏めていきます。
石田一志の音楽散歩 第3回
伊福部昭米寿記念演奏会
演奏会プログラムより
日本の作曲界の巨人、伊福部昭の米寿記念演奏会が、去る5月19日東京・紀尾井ホールで盛大に開かれた。伊福部の業績は広範囲にわたって多大だが、なかでも「エスニック・エキゾティシズム」に分類されている一連の北方アジアの諸民族音楽への共感をダイナミックに表明した作品、「ゴジラ」を代表とする一連の印象的な映画音楽、大著の「管弦楽法」、それに優れた人材を育てられた教育者としてのそれが知られている。とくに、伊福部楽派の結束は固く、これまでにも古希・喜寿といった節目には記念コンサートが企画されたが、今回はなかでも多彩で充実した内容であった。
石井眞木指揮、新交響楽団によるこのコンサートのライヴ録音が、早くもキング・レコードから2枚組みで発売された。アイヌの古謡や芸能にノスタルジックな思いを馳せた《シンフォニア・タプカーラ》、お馴染みのSF映画のテーマを贅沢に組み合わせたSF交響ファンタジー、愛弟子の石井眞木、真鍋理一郎、三木稔、今井重幸が書き下ろした祝賀の「4つの舞」、精緻な筆致で描かれた土俗的絵巻物である《土俗的三連画》に加え、芥川也寸志、松村禎三、黛敏郎、池野成の故人を含む4名の門下生が編曲したオーケストラ版の《ギリヤーク族の古き吟誦歌》が収められている。とくに宇佐見瑠璃のソプラノ独唱による《ギリヤーク》は格調も高く、スケール大きな演奏で素晴らしい。
バックナンバー
第二回
2002統営国際音楽祭
第一回
オストラバ・ニュー・ミュージック・デイズとガウデアムス音楽週間
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